ご家族の事情により当社を退社されるまでの数年間、あの事件も共に経験し、私より一回りほど年上だったにもかかわらず、若輩者が運営するショップの裏方を見事にこなしてくれていました。
そのころの我々の間ではいくつかの商品に適当な名前(通称)を付けることがよくありました。
当時でも1000種類近く商品があったので、さすがに全部の商品名をお互いに覚えているわけにはいかなかったからです。
その名前の付け方にはいくつか法則がありました。
ひとつは商品名を短縮したものです。
Switch A Rooの場合は単に「ルー」。
サムチップフレイムは「サムチフレイム」といった感じでした。
また、Inexhaustibole Pack of Cardsのように覚えるのも大変なものは短縮した上にちょっとアレンジを加え、「アイネクス(最初の4文字)」となりました。
そして、おばけハンカチの場合は「オバハン」
お互いに通じているとはいえ、この名前で普通に会話をすると、他人に聞かれると変な誤解を招きかねません。
T「銀ちゃん、オバハンいつ来る(入荷する)?」
銀「海外から先週出たっ(発送された)て連絡来てますけどね~」
~数日後~
T「海外からの荷物来たけどオバハンおらんで!」
もはや人扱い。 ちょっとした失踪事件です。
別の名づけかたとして、商品名の一部を適当に取るという方法もありました。
人形が不細工すぎるということで、二人で一致して販売を決めたチックトリックは「チック君」
Perplexing Penは少し言いにくいので「パープリン ペン」といった感じです。
また別の方法としては、直接的に使われている道具や現象、考案者そのものを通称としてしまうものもありました。
ブレイクスルーカードシステムは「オスタリンドの本」
Visual VOODOOは「ネイスンのDVD」
(このころはまだ一種類だけ扱っていたため、これで通じました)
そんなこんなでいろいろと名前を付けていましたが、時にセンセーショナルな名前をお互いに思いついて、省略でもなんでもなく、さらに言いにくい名前を付けることもありました。
私が尊敬している故トミーワンダー氏のDVDセットのことを
トミーワンダー、日本名「和田とみお」のDVD
と命名。
しかし、TAKAが独自に付けた名前は強烈でした。
商品は、これまでに無い原理を使ったとても不思議なメンタル(カード)マジックで、当店でもロングヒット商品となっている「Ceremony of the IMMORTALS」(セレモニー・オブ・ザ・インモータルズ)です。
直訳すると「不滅の儀式」と言うかなり重厚なネーミングで、私はこのネタをずっと「セレモニー」と省略して呼んでいました。
ところがある日TAKAが一言。
(オリジナルの権利を尊重し、伏せ字無しでお届けいたします)
「銀ちゃん、セレブの陰毛どこにある?」
そんなもんはうちには無いです・・・
さて、そんなTAKAさんがこっそりとショップをオープンしました。
「路地裏のマジシャンの店 こっそり屋本舗」当店でTAKAの手順をお求めいただいた方には説明不要な瞬殺ネタはもちろん、内装家具屋でもあるTAKAさんがデザインしたローダーなど、良いものを扱っておられます。 是非、みなさんこっそりと覗いてみてください。