海外の古い銀貨で表面が磨耗し、複数枚のコインを擦り合わせてもカチャカチャと音が鳴らないもの。
正しくは「ソフト・サウンズ・コイン(Soft Sounds Coin)」で、静かな音のコインと訳すことができる。
複数枚のコインを使ってマジックを演じる際、立て続けにコインを消す(ように見せる)必要がある場合には、やはりそれらを密かに重ねなくてはなりません。
その際、最も気を使うのが「音」です。
観客からするとコインはすでに消えているわけですから、二枚目のコインが消えたときに何も無い手から「カチャ」っという金属音が聞こえるということは有ってはならないことです。
そこで多くのコインマン(コインマジックをメインに演じる人をこう呼んでいます)はお気に入りのコインのソフトコインを所有しています。
しかし、このコインを手に入れるのが大変です。
ソフトコインは単に音が鳴らなければ良いというものではありません。
音が鳴らなければ良いのであれば、銀貨をヤスリで磨き倒すか、最悪の場合は鉄板を丸く切り抜いた物を使えば良いでしょう。
(特に磨耗が激しい銀貨の場合、本当に単なる円盤のように磨り減ったものもあります。。。)
そこで重要な要素となるのが、銀貨の模様(レリーフ)をしっかりと示してくれる「錆(さび)」です。
銀の錆は鉄とは異なって黒色をしているため、その錆が均等にレリーフの窪みに付くことで、レリーフの輪郭をくっきりと浮き上がらせてくれるわけです。
それにより、表面はツルツルでもしっかりとコインの模様が見えるコインとなるのです。
この自然発生的に付着する錆は、当然コインの磨耗具合や保管場所によって異なる付き方をします。
一般的にコインマジックを演じるには4~5枚のコインを使いますので、ソフトコインを使用する場合、同じ磨耗具合で同じように錆が付いているコインを集めなくてはならないわけですが、この作業が半端ではありません。
大体ランダムに100枚の古いコインを入手しても、4枚1セットとして3~4セット取れればラッキーです。
かと言って、コインショップでよさげなコインを見つけて1~2枚買っておいても、次に見つけるコインが同じような錆びかたをしているなんてことはまずありません。
従いまして、ソフトコインを買うときは必ず複数枚を一気に合わせて買うことが一番の節約になると思います。
これは商売抜きで、実際にケチって数枚ずつ良い錆具合のコインを買った結果、10枚以上の半端なソフトコインを練習用に使っている銀次郎の経験談です