2009年4月24日金曜日

引越し

 
昨日、10年近く済んでいたあばら家から引越しをしました。
 
マリック氏も足を運んでいただいた思い出深いところでしたが、さすがに二人目が生まれて手狭になったため、仕事場近くに移動することになったわけです。
 
 
 
 
 
 

 
正直私は引越しというものをナメていました。
 
 
今まで引越しというものをしたのは、実家から前の家に引っ越した一回だけで、そのときは自家用車で4~5回往復して終わらせた記憶があり、今回もそんな感じでノホホンと当日まで大した用意もせずに過ごしていました。
 
 
 
しかし、普通に考えればこれが如何に間抜けかは簡単に分かることでした。
 
 
前回の引越しは「実家の一室」から「ひとつの家」への引越しです。
 
 
荷物の置き場に困るわけがない。
 
 
 
 
しかし、今回は違います。 
 
 
「ひとつの家」から「ひとつの家」への引越しなのです。
 
 
家具もあれば電化製品もあります。
 
 
さらには私の仕事道具から細々した作りかけの物や実験中のものなど、要る物と要らない物をわけるだけでも数時間かかり、朝8時30分スタートで14時に荷物を積み込む予定が、結局荷物を積んだのが15時30分でした。
 
 
 
荷造りを手伝ってくれた二名の女性スタッフは、いたるところから「親指」が出てくる謎の家に首をかしげつつ、時には「腕が出てきた!」と悲鳴をあげ、何の変哲も無いように見えるコインやトランプをとても大事そうに自ら箱詰めする家長を不思議そうに見ていました。
 
 
あ。 うちのように小物が多い人は、引越し前に塗装用マスキングテープを用意しておくと良いと思います。
 
 
粘着力が弱く、簡単に切れるので、コインなどをしっかり固定しておいても綺麗に剥がせます。
 
 

 
 
 
荷物を積んでから新居に移動して荷物を下ろし、作業が終わったのが19時30分でした。
 
 
自分で重い荷物を運んだわけではないですが、家具の配置などを指示するために家の中を上がったり下がったりして今日は筋肉痛です。
 
 
 
日曜までに冷蔵庫が入るよう、山積みになっているダンボールを開梱して道を作らなくてはならないと思うと憂鬱な銀次郎です。。。
 
 
 引越し便利グッズ
 
 

 

2009年4月17日金曜日

お蔵入りしたキーボードたち その1

 
「初代キーボード」であるマイクロソフト製のものについて以前に書きましたが、現在愛用しているキーボードにたどり着くまで、いくつものエルゴノミクス系キーボードを試しました。

今回、その中で最も造形的に気に入っているものをご紹介いたします。
 
 
 
まず、そいつがお蔵入りになった理由は、「造形的に気に入っているのですが、とにかく設置が面倒くさい上に動きにくい」という点です。
 
 
 
 
「設置?」「動きにくい?」と思ったあなた。
 
なかなか鋭い。
 
 
キーボードなんて、普通は買って来てテーブルに置き、USBかPS2のコードを繋げばおしまいですわな。
 
 
 
 
 
しかし、私が選んだキーボードはそんな簡単なものではありませんでした。
 
(だからこそ、私の目にとまったともいえますが。。。)
 
 
 
 
 
そのキーボードの名前は「Kinesis Evolution」
 
 
Kinesis社はエルゴノミクス系のマウスやキーボードなどの老舗で、いろいろと面白い商品を出しているので、私が常にチェックしている会社でして、今回お話するEvolutionは、そこでもずば抜けて目だっていた商品でした。
 
 
過去形で話をしているのは、すでにその商品が製造終了(またか?!)になっているからです。
 
 
 
 
 
何故廃盤になったのかはある程度推測が出来ます。
 
 
 
設置が面倒である以上に、値段が高かったからでしょう。
 
だいたい当時で6万円ぐらいしていたと思います。
 
 
 
 
それでは、そろそろ全貌をお見せしましょう。
 
 
 
 
斬新で近未来的なデザインのキーボード。
 
 
Kinesis Evolution Chair mount です!
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「アホちゃうか」と思った者。 半歩前へ出て歯をくいしばれ。。。
 
 
 
 
 
 
 

 
 
ちなみに、チェアは別売りです。
 
チェアまで注文すると空輸代金がアホほど高くなるので国内で似たようなものを買って代用しました。
 
 
 
 
 
 
キーボード配列はこんな感じ。
 
 
 


お分かりですね。
 
トラックパッドまで装備されているのでマウスを動かすために机に手を伸ばす必要はありません。
 
 
 
 
 
写真では左側パッドが四角いロゴみたいになってますが、私が持っているものはここも右側と同じようにトラックパッドになっていて、どちらの手でもマウス操作ができます。
 
 
 
 
しかも、椅子に取り付けたアームを調整することで、キーボードをそれぞれ前後左右に移動させたり傾けたりすることができますので、アームレストに肘を置いた状態でタイピングができます。
 
 
 
 
 
でも、そのをネジで固定するのが大変でした。。。
 
アームレストの素材って、やっぱり硬いんですよね。
 
それにドリルで穴を開けて付属の鉄板をビス留めするために、電動ドライバーを買うハメになりましたし。。。
 
 
 
 
 

 
 
しかも、サイバーな感じのデザインのくせに作られたのが結構古いらしく、無線ではなく有線接続で、しかもUSBではなくPS2(キーボードとマウスのケーブルが緑と紫のコネクタに分かれてるやつ)なんです。
 
 
 
つまり。。。
 
 

 
 
 
 
 
ケーブルの長さしかパソコンから離れられない
 
 
 
 
しかも、ケーブルがあるため、どちらか片方からしか椅子には座れません。。。
 
 
 
 
座ってしまえばなかなかの使い心地ですが、問題点が多くあるため、残念ながら今では事務所の飾りとなってしまった(私の中では)名作のひとつです。
 

 
 
 

2009年4月10日金曜日

お連れ様はご存知のようで

 
私が以前マジックバーで出演していたときのことです。
 
 
マジックをやっていると、やはりお客さんの中には「あ~、わかった!」と突然声を上げる人がいらっしゃいます。
 
こちらのミスが無い限り、ほとんどの場合「分かったつもり」で見当違いな推測をされていることが多いのですが、あきらかに「お前絶対分かってないやろ・・・」というお客さんもいらっしゃいます。
 
 
 
今回はそんなお客様のお話。
 
 
 
 
私がマジックを演じているとき、オープニングからひとネタごとに「あ! 分かった!」と連呼する男性がいらっしゃいました。
 
 
どうやら彼女さんを連れているようで、その彼女さんらしき人は次々と見破る彼に「すご~い。 分かるの?!」と尊敬の眼差し。
 

 
 

余談ですが、私は多くの場合この種の人たちの発言には悪気は無いと思っています。
 
マジックの楽しみ方は多種多様です。 「分かった!」と言って自慢げにネタの推理を披露される方は、他のみんなもネタを知りたいと思っていると考えていて、場が盛り上がると思ってそのような行動に出られることも多々あるようです。

これに対応するには、観客に対して挑発的な仕草や発言を行わないことが第一でしょう。
明らかに他のお客様が迷惑そうにしているときは「あのね。 クイズじゃないんだから」とたしなめますが、基本的には「そうか~、もっと練習せなあかんな~」と言って流していました。 

ここで「その推理はハズレですね」と対決ムードになってしまうとそのお客さんはムキになり、他のお客さんが楽しめなくなってしまいますし、結局はタネを明かさない限り相手の推測が間違っていることを証明する手段が無いため、最終的に「分かった」と言った者勝ちになってしまうので、あまり真剣に相手をしないというのが本音のところです。
 
 
 
 
 
話戻って「何を見ても分かったという男性と、それを尊敬の眼差しで見る女性」カップルのお客様のおはなし。
 
 
最初の2ネタはスライハンド系なのでもしかしたら何かが見えたのかもと思っていましたが、その次のネタはミスディレクションを使ったもので、あきらかに彼の目は私の目的のところに向いており、角度的にも絶対に見えないところで必要な処理を行いました。
 
 
 
しかし、現象が起こった直後、再びその彼から私の不快指数が一気に跳ね上がる言い方で一言。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

「あ~、上手いけど分かってしまった
 
 
 
 
 
何や、その「申し訳ないけど」みたいな言い方。。。
 
 
 
 
しかし、そこからお連れの彼女さんのコメントが微妙に変化しました。
 
彼女も何かを察知したようです。
 
 
 
 
「え~、これも分かるの?!  どうやってるの?
 
 
 
 
あえて私は聞かないので、その質問を彼にしてくれたことに心の中で感謝しつつ、彼の答えを待ちました。 そして彼の答えは。。。


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



「分かったけど俺にはできんから秘密にしとく!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
マジシャンの技量を褒めつつ自分の洞察力を誇示し、さらにはネタをばらされてはマジシャンが困るのでそれはしないという紳士であるかのような言い回し・・・

見事なスルーや。。。
 
 
 
  
 
 
 
その後持ち時間の10分弱の間、現象が起きるごとに「分かったけど俺にはできんな~。 さすが!」と合いの手を入れられながらのらりくらりと演技を続け、最後にその頃お気に入りだったフォーナイトメアーをばっちり決めてステージを降りました。
 
 
 
 
ステージの袖で「あ~疲れた・・・」と思っていたとき、客席の二人の声が聞こえました。
 
 
 
 
 
 
彼「最後のもすごいけど分かってしまったな~」






彼女「え~! あれもわかったん? どうなってんの??」






彼「いや~、分かったけど俺にはできんわ~」






 
 
 
 




彼女「もう、いいって
 
 
 
 
 
 
どうやら、お連れさんは彼が全然分かってないのが分かっていたようです。
 
 

 
 

2009年4月8日水曜日

ノーマル・・・か?!

当店では海外商品のオリジナルの紹介文を単に和訳するのではなく、出来る限り商品を実際に見たり触ったりしてから自分の感想も交えて商品紹介を書くようにしています。


  




それは、稀にですが商品紹介に意図的かと思えるほど確実に誤解を招くであろう言い回しが使われていることがあるからです。



 


  


いくつかありますが、その中で最も微妙な表現が「ノーマルデックで出来る」というものです。


 


 


 




ノーマルとは「標準の・正規の・規定の」という意味ですので、当然ノーマルなのだから仕掛けの無いデックのことだと思われるでしょう。


 


 


 

しかし、実際にはレギュラーデックに両面テープを貼ったり、特定の順番にセットしておかなくてはならない物も「ノーマルデック」と表現されています。


 


 


 


つまり、海外で言う「ノーマルデック」とは「ギミックを付加していない」という程度の意味だと考えなくてはならないのです。


 


 


 


さらにひどい場合、ノーマルデックで行うのはフォースの部分のみで、肝心のカード当てのところは思いっきりギミックを使うものであっても「ノーマルデックで」という説明が書かれていることもあります。


 


 





順番にセットしておくものは、演技が終わったあとに観客に調べてもらったり他のカードマジックに移行できるのでさほど問題ではありませんが、両面テープなどの「カード以外の準備」を必要とするものはそうは行きません。



 


 



既にある程度のルーティンが組みあがっていて、そこに足そうと仕掛けを使わないものを探している人にとってはまったく使えない物になりかねないからです。



 


 




ですので海外から直接商品を買われる際は、商品の解説の中で「使うのはノーマルデックです」と書かれている物は、とにかく一度は疑ってかかることをお勧めします。


 


 



 


 


2009年4月2日木曜日

何故そうなる。。。



当社は海外商品をメインに扱っているため、当然外人さんのやりとりが多くなります。

 

 
ほとんどの人が商売に慣れているため、特に問題もなく取引が成立しますが、希に、いまいち話しが通じず難儀する人もいます。

  

 

そこで、今回は計算に関するトラブルのお話です。

 
 

「外人さんは暗算が苦手」なんて話は聞いたことはないでしょうか?

 

 
日本人が九九を諳んじると「奇跡の算術」などと言う人もいるぐらいだとか。

 

 
 

 

4~5年ほど前のことですが、何種類かのDVDを合計で100本と、いくつかのネタを同時に発注した時のこと。
  

ひとつの箱にまとめてくれればよかったのですが、その相手はDVDが数十本ぐらいしか入りそうにない小さな箱を別々の荷物として送って来たのです。

 

 
「送料高くなるやんけ~」と思いながらも「ま、海外(日本)相手やし慣れてないんやろな」と寛大に見ていました。

 

 

 
送られて来た箱は小分けにされているとはいえ、一度に発送したようで、それぞれの箱に「1/5」「2/5」という風に「5個の荷物のうちの何個目」と分かるよう、マジックで書かれていました。

 

 
 

 
5個とも同じサイズの箱が届き、試しにひとつの箱を開けるとそこには20本のDVDが隙間無くビッシリと詰まっていました。


 


 


 


 
そして次の箱を開けると10本のDVDと、注文したDVD以外のネタが詰められていました。


 


 


 


・・・・・ちょっと待て。。。。  どう頑張っても20本しか入らない箱が5個。。。


 


 



そのうちひとつはネタが入っているのでDVDは10本だけ・・・


 


 


 


 


DVDが10本足りへんやん。


 


 


 


 

ということで、相手に「DVDが届いたけど10本足りないよ。 別便で来るのかな?」とメールをしたところ、次の日に早速返事が来ました。


 



 


 


「僕は20本入りの箱を5個送ったよ」


 


 


・・・・・いや・・・・箱の数は合ってるけど・・・・


 


 


 


  


何か噛みあっていない感を感じつつ、こちらの状況を分かりやすく伝えなおすことに。


 


「20本のDVDが入った箱4つと、10本のDVDとネタが入った箱が届いている。 たしかに箱は5個だがDVDの数は足りない。 だから残りの10本を送ってください。」と丁寧に返信。


 
誰が見ても問題ない文章であろう。


 


しかし、次の日届いた答えに私はどう返すべきか正直迷いました。。。


 


 


 
 


  


「私は間違いなく100本のDVD二種類のトリック5個の箱に入れて送った!」
 


 


 
 


 
どうやって????
 


 
先のメールでひとつの箱には20本のDVDしか入らないことは彼も認識しています。


 
 
20本入れたらぴったりの箱が5個。


 


うち、ひとつには別の物が入っているのでどうあがいても20本は入らない。


 


従って、5つの箱で100本のDVDを送ることは不可能であることは明らかである。


 


 

 


私はそれをさらに丁寧にメールに書いて送りました。





計算式を添えて・・・


 


 


すると彼は渋々ながら残りのDVDを送ってくれました。


(彼が渋々であったことは彼からのメールの端々から感じ取れました)


 


 
それ以来、そことは取引をやめてしまいましたが、彼の頭の中の数式は結局分からずじまいでした。


 


あの時もうちょっと我慢して聞いときゃよかった。。。